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大館鳳鳴高校 「世界はひもからできている」

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11月4日に行なわれた出張授業です。この授業は大館鳳鳴高校のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)活動の一環として行なわれているもので、企業、大学の講師や秋田県の博士号教諭が集結します。私は昨年度に続いて2回目の参加です。 今回も前回と同様に、ひも理論のお話をしました。前回お話をしたときは、ひも理論にあらわれる高次元空間やDブレインに強い関心を示した人がいて、大変嬉しかったのを覚えています。今回も負けずおとらず、授業後にはたくさんの質問が飛び交いました。 授業のときにいつも思うのですが、終了後の時間がとれなかったことが残念でした。例えば大学のセミナーだと、公式な質疑応答が終わったあとも、話題に興味を持った人は講師のところに集まって、質問や議論をします。その後さらにお茶やご飯をしながら、気楽に話し合います。研究者にとっては、こういった、本音で語り合える「非公式な会話の時間」がとても大切なのです。この課題については、今後どういう形で高校での授業に盛り込めるか検討していきたいと思います。 当日は時間がだいぶオーバーしてしまい、ご迷惑をおかけしました。大館鳳鳴高校のみなさん、どうもありがとうございました。

国立科学博物館

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国立科学博物館 に行ってきました。上野公園にある、国内でも屈指の規模を誇る科学館です。「日本館」と「地球館」という2つの建物に分かれています。今回は時間の都合もあって日本館は見られませんでした。 地球館の目玉は、化石と標本の膨大なコレクションです。地下のフロアには膨大な数の化石があります。恐竜や動物などの化石を展示スペースにぎゅっと詰め込んで展示してあります。大迫力ですね。とくに大きな生き物の大きさに圧倒されます。 で、地上のフロアに行くと、化石ではなく標本の展示になります。標本になると一気に情報量が増すわけで、生命の豊かさに感動しっぱなしでした。 今回のもう一つの目的は、地下3Fにある「霧箱」です。 動画です。 さすがに展示用の大型霧箱、普段実験で使っているものとは違います。放射線源なしでも飛跡がいっぱいです。過飽和層が厚いので、軌跡が3 次元的に見えます。手作りの霧箱ではなかなか見えないような、長い軌跡もたくさん見られます。 この霧箱、学校単位で買うのはとても無理な金額なのです。が、これくらいのものを生徒に見せられたらなぁ。。。と思います。夢ですね。

慶應義塾大学インターネット望遠鏡ネットワークシンポジウム

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慶応義塾大学 日吉キャンパスで行なわれたシンポジウムで、昨年度の取り組みを紹介してきました。 慶應義塾大学インターネット望遠鏡ネットワークシンポジウム 様々な取り組みに関するお話を聞けて、大変実り多いシンポジウムになりました。 イタリアのブレラ天文台の Pareschi教授のお話を聞けたのは収穫でした。大変歴史のある天文台で、最先端の観測を行なうかたわら、教育にも力を入れています。これから高校生を対象とした教育プログラムをスタートさせるそうで、イタリア国内からは申し込みが殺到しているとのことです。こういったプログラムは大変に人気があるとのこと。さすが天文の「本場」イタリアですね。 初期の(ガリレオ、ライプニッツやニュートン)のころの天文学は、自然科学が発展するために大変重要な役割を果たしました。そういった歴史を肌で感じられるような訪問、見学が行なえれば最高だと思います。秋田県の中高生にもチャンスがあるので、実現できるようにがんばっていきたいです。

世界天文年フェスタ in 庄内

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こういうイベントのお手伝いに行っていきました。 世界天文年フェスタ in 庄内 酒田公益分科大学が酒田市・鶴岡市と協力して開催したイベントです。地域の方々が天文の体験活動ができるようなイベントがもりだくさんでした。 望遠鏡づくり 子どもたちは楽しそうに組み立てていました。子どもたちではなく、保護者の方々にとっても楽しめるイベントでした! 観測会 組み立てた望遠鏡で夜空を観察!くっきり見える月や木星の衛星にみんな驚いていました。 この写真は鶴岡市の星の会の方々がもってきてくださった望遠鏡にデジカメをあてて撮影した写真です。縞模様がはっきり見えますし、ガリレオ衛星もひとつ写っています。 インターネット望遠鏡 ずっと協力さしていただいてる「インターネット望遠鏡」の体験会です。この日はミラノの望遠鏡がよく見えました。 本当に良いイベントでした!同様のものを横手でも行おうと検討しているのですが、いまだ実現していません。できるといいなぁ。。

10.1 秋田中央高校 出張授業 「世界はひもからできている」

久しぶりの「ひも授業」です。今回は秋田中央高校の3年生が対象。秋休みの補習時間を利用して希望者が集まってくれました。3年生を相手に授業するのはこれが初めてです。 今回はいろいろと新しい試みを取り入れました。まずやったのが「参考図書の貸し出し」。ひも理論に関する書籍をあらかじめ送っておいて、予習をしてもらいました。読んでもらった生徒に感想を聞くと、やはり「難しかった」そうです。 授業の最後には、丸まった空間(シリンダー)に巻き付いた「ひも」の工作をやりました。が、いまいち意図が伝わらなかったようです。これは要改善ですね。 最後には質問がたくさん出て、生徒のみなさんとたくさん会話ができたのがうれしかったです。どうもありがとうございました!

台湾の台風被害

たいへんなことになっています。 台湾の災害対策センターが発表した最新統計によると、15日午後10時までに、台風8号「モーラコット」による死者は124人、このほか、負傷者45人、行方不明者56人となっている。 また、島内の農林水牧業は、台風により約120億台湾ドル以上の被害を蒙った。 15日午後、台湾海峡交流基金会は大陸サイドの海峡両岸関係協会に電報を送り、先日提供された仮設住宅に続き、手動及び自動の消毒機各500台、毛布1万枚、寝袋1万個などの救援物資の提供を求めている。 ここ数日、同じく台風の被害を受けた広東省では、台湾の投資家や各界人士による台湾被災地へ義援金を送る活動が展開されている最中だという。 わずかながら募金をしました。窓口はこちら 台湾台風8号水害義援金口座が開設 日本で大使館にあたる業務を行っている機関です。(公式な大使館はありません。)

大曲の花火

全国的に有名な 大曲の花火 。去年は大雨の中、ペア席に陣取って、寒さにこごえながら鑑賞しましたが、今年は晴れでした。ちょうど花火の時刻に秋田空港から横手まで帰らなくてはならず、ドライブ中の鑑賞となりました。花火がやっている時間帯だったのでさしたる混雑もなく無事家に辿り着きました。ちなみに横手からもかすかにではありますが花火は見えました。 さて、花火は物理の教材として大変優れています。とりあえず思いつくものは 放物運動の式で軌跡を計算してみる。ビデオの映像と比較できればいいですね。 音速と光速の違い。花火までの距離がかんたんに割り出せます。これもビデオを使うとよいですね。 花火の色。どんな原子のスペクトルが出ているのでしょうか。 詳しく調べていませんが、いずれも実践例があると思います。 日本トップクラスの花火をネタに授業ができる秋田県。最高ですね!

イーハトーブ

岩手県花巻市に行ってきました。宮沢賢治で有名な場所ですね。関西にいたころは遠い遠い世界「イーハトーブ」も、いまやお隣さんです。家からは1時間強で行けてしまいます。 宮沢賢治といえばいまや国民的作家と評されていて、教科書でもやりますし(「永訣の朝」を学んだ記憶が)、個人的にも「銀河鉄道の夜」を読んだりしたのですが、文学センスに乏しい自分には何がそんなにすごいのか、面白いのか、よくわかっていません。で、いまいちど読んでみようと思ったのですが、いまはこんなものがあります。 青空文庫 このサイトにはテキストとXHTMLしか置いていないのですが、紙に印刷したければ、例えば てふてふ君 ここでpdfファイルが作れます。便利ですね。

夏季合宿セミナー

昨年度から秋田県が行っている「夏季合宿セミナー」、今年もやってきました。 秋田県には大学進学塾や予備校が少なく、違う学校の生徒が一緒に勉強をするといった場面があまり発生しません。塾で「あの学校はこんなにやってるんだ」とプレッシャーを感じる場面、そういうものが少ないわけです。この合宿ではいろんな学校からの参加者が集まるので、そういった刺激がビンビンと感じられる、生徒のみなさんにとっては絶好の機会です。秋田県の「博士号教諭」はこの合宿の実験観察演習、講義、交流会などに全面的に参加することになっています。 個人的に、この合宿をどういうものにしたいか、ということを考えるときに常に心に描いているのが素粒子(理論・実験)、原子核の分野の大学院生が集う「 原子核三者若手夏の学校 」です。自分も学生時代に参加して、「○○大学の連中はここまでやっているのか」とか、いろんなことを現地で話して刺激を受けていました。高校生の合宿とはやや状況が違うかもしれませんが、あれくらい他校の人たちと仲良くなれたらな、という目標にしています。 「初対面の人とのコミュニケーション能力」は高校の現場ではもっとも養いにくい力でしょう。でも社会ではとても大事です。学校の中でも、あまり知らない先生や上級生に質問することがあるかもしれません。推薦やAOで入試に使う人もいるはずです。この合宿でそういう力が着実に養えるように提案をしていきたいと思います。

日食の写真

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浅舞小学校で観測した日食の写真です。 望遠鏡の光を画用紙に映しました。太陽が欠けているのがよくわかります。 ロボット部員が作ってくれた「ピンホール」。画用紙に小さな穴をたくさん空けて、そこからもれてくる光をもう一枚のが用紙に映します。きれいでしょ? 木漏れ日も欠けた形になります。 浅舞小学校の生徒による「即席ピンホール」です。さすが! この日この場所で日食が観測できたことは、いろいろな偶然の奇跡的な積み重ねなのだなぁ。。とこのページを書きながら考えました。天気が晴れてくれたのも奇跡的でしたし、月と太陽の大きさと距離にしても奇跡的です。そして自分がここ秋田でこうやって授業をしていることも。 貴重な時間をともにした、浅舞小学校のみなさん、清陵の先生方とロボット部のみなさん、ほんとうに感謝です。ありがとうございました。

「日食を観測しよう」大成功!!

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今年平成21年7月22日は日本で皆既日食が見られる日。なにをかくそう、自分が日食を観測するのは今回が初めてなのです。幸運にも、浅舞小学校での出張授業という形で日食を観測することができました。 今回は自分だけではなく、清陵の理科教師2名と清陵中ロボット部の部員もいっしょに来てくれました。 授業を開始する時点では、雨こそ降っていないものの、太陽は雲に遮られてまったく見えない状態。なので、教室で日食の勉強をしたり、テレビ中継をみたりしました。 日食の中継に見入る6年生の生徒たち。硫黄島の皆既日食の瞬間には「おお〜」と歓声があがりました。 で、授業が終わる頃には、教室の外がずいぶん明るくなってきました。 「これはいける!」 というわけで、授業時間をすこし延長していただいて、観測を行うことになりました。

西明寺小学校での出張授業

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西明寺は横手から田沢湖方面に1時間ほど車で行ったところにある、たいへんのどかな場所です。小学校4年生を対象に「どこでも天体観測」の授業を行いました。慶応義塾大学「 インターネット望遠鏡プロジェクト 」の協力により、海外にある望遠鏡を操作して、教室で、昼間に天体観測を行います。 当日はイタリア(ミラノ)やアメリカ(ニューヨーク)にある望遠鏡を動かして、月や木星をみる、はずでしたが。。。 残念ながら天候がよくなく、うまく見えませんでした。授業は、はじめて天体を望遠鏡で観測したガリレオ・ガリレイのお話や、すばる望遠鏡、ハッブル望遠鏡の美しい画像を紹介しました。 生徒のパソコンの間に先生の画面が映し出されるようになっています。プロジェクタと違って明るい部屋でも奇麗に映るので、星の写真を見るのにとても役立ちました。 授業の最後は、突然「握手会」に!こんなに歓迎してくれるなんて、本当に感謝です。元気いっぱいの生徒たちとふれあうと自分も元気が出てきます。 秋田の夏は短いですが、明かりが少なくて、天体観測に適した場所がたくさんあります。今年は世界天文年。子供たちと一緒に天体に親しむイベントをいくつか計画しています。 西明寺小学校のみなさん、どうもありがとうございました!!

大雄中学校での出張授業

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横手市立大雄中学校に行ってきました。 今回は環境にかかわるテーマで授業をしてほしいということで、昨年度に実施した「みんなで考えよう!エネルギー」を行ないました。 当日は自分だけではなく6名の講師がいろんな分野の講演を行いました。中学生全員が希望する講師の授業を受けて、今後の「探究活動」のテーマ選びのヒントにするそうです。 スターリングエンジンを動かします。お湯だけだと回転は遅いのですが、上にドライアイスを乗せると‥? こっちに住むまで気づかなかったのですが、秋田県にはエネルギー関係の題材がたくさんあります。海岸には風力発電の風車があり、秋田市には油田があります。やっかいな冬の雪も、たとえば清陵の「雪冷房」や、このスターリングエンジンに有効活用できます。 人口減少や雪の多さなど、マイナスに感じる話題の多い秋田県ですが、なんとかその特徴をプラスに考えていきたいですね。 大雄中学校の生徒さんたちは、授業の最後にはたくさん質問をしてくれました。生徒たち、そして先生方と他の講師のみなさん、どうもありがとうございました!

「清陵プロジェクト」中3理数系 の概要3

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中3のプログラムの最後の授業は「博士と語ろう!」ということで、生徒と博士号教諭3名との談話会を行ないました。内容はまさに、秋田県が高校生を対象に実施している「合宿セミナー」の清陵中バージョンで、それぞれの博士の部屋で、研究のこと、大学生活のことなど、いろいろなことを話し合います。 自分の部屋での様子を紹介します。 今回の目標は 「今回の談話会のように、あまり知らない大人がいるような状況でもリラックスした雰囲気を保ちながら談話をすることができる」 ということです。これだけ人数が多いと、講師が一方的に話すだけでかたい雰囲気になりがちです。そうならないように 大学のゼミでの輪読などでやるように、輪っかになって座る 雑談をとりまぜてリラックスした雰囲気をつくる といったことに気を使いました。自分ではまずまずうまくいったと思っています。生徒からはたくさん質問や発言が出ました。とくに2時間目のグループでは話がどんどん脱線していき、笑いが絶えませんでした この種のコミュニケーション能力はかなりレベルの高い部類に属すると思います。「お客さん」が多い清陵学院はそういうスキルを磨くのに非常に良い環境だと思います。これからもあるであろう様々なイベントを、いい形で活かしていこうと思います。

「清陵プロジェクト」中3理数系 の概要2

自分が担当した授業について紹介したいと思います。 「はかるくん」を用いて放射線を測定する典型的な授業だと思います。 1回目  (1時間) 素粒子や放射線(特にγ線)のこと、「はかるくん」の説明などをしたあと、大気中の放射線の観測を行いました。その後、次回の授業でどんな測定をするか決めさせました。 ここでは、γ線の詳しい性質はほとんど話していません。γ線がどんな性質を持つのか予想させ、そして観測で確かめるという「仮説−検証」のステップを体験してもらうのが目的です。 2回目  観測と発表(2時間) 最初の1時間で、前回決めたプランに基づいて観測を行います。屋外で観測したグループ、部屋で観測したグループ等、様々でした。2時間目は観測結果をまとめた上で、班の代表に結果を発表してもらいました。最後に「霧箱」で放射線の軌跡を見ました。 やってみて もう少し事前の説明をしてもよかったかと思っています。生徒の知識が全くない状態なので、仮説が立てづらかったかと思います。生徒の観測を行う前に、「お〜、自分でも調べてみたい!!」と思わせる仕掛けが必要だと思いました。霧箱を最初に持ってくれば良かったかも。 中学校3年生の皆様、先生方、どうもありがとうございました!

「清陵プロジェクト」中3理数系 の概要

全6回 (各2時間)の授業を行いました。 1 日目:ガイダンス 2日目:実験観察1 3日目:実験観察2 4日目:実験観察1 5日目:実験観察2 6回目:博士号教諭との談話会 2,3回目と3,4回目は同じ内容ですが、生徒が入れ替わります。生徒は3人の博士教諭の授業のうち、2人の授業を受けることができます。 6日目は先生とリラックスして話をする「談話会」です。これも希望をとって2人の話を聞けるようにしました。 最近の学校では外部からゲスト教師を迎えることも珍しくないですが、これだけのボリュームで特別な授業を行う機会はあまりないのではないでしょうか。博士号教諭のいる秋田県ならではの試みでした。

「清陵プロジェクト」中3理数系のプロジェクトが無事終了しました

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横手清陵学院では、中・校をあげて、生徒が主体的に選んだテーマに挑む「清陵プロジェクト」にとりくんでいます。中学生は主に地域に根ざしたテーマにとりくんでいるのですが、理数系の探究をすこし取り入れよう、ということで、約一ヶ月間にわたる取り組みを行いました。 授業を担当するのは県南地域の3人の博士号教諭! 大曲農業高校 遠藤金吾先生は、DNAを制限酵素で切断し、電気泳動法でその長さを調べるという、超ハイレベルな実習をしてくださいました。 清陵の須田宏先生は、「コマ」や「ジャイロ」 の実験です。おもしろい動きに生徒のみんなはみ夢中!考察では真剣に考えてくれていました。 そしてわたくしDr. Z は。。。素粒子を身近に感じてもらおう!ということで「はかるくん」を用いた放射線の測定をしました。この内容については、次の記事に詳しく書きたいと思います。

スクール・ニューディール

ちょっと前にこんな話がありました。 理科教材費、どーんと15倍 経済対策に200億円盛る うちの学校でも備品を購入できることになったので、欲しい備品のリストを提出しました。 で、それが終わったかと思えば、次はこんなのが。 スクール・ニューディール 政府の追加経済対策には、世間の注目を集めるエコポイント制度などのほか、目立たないが「スクール・ニューディール」と呼ばれる政策も盛り込まれている。  これは、全国に約3万5千校ある公立の小中学校に対し、今後3年程度で、耐震化工事や太陽光発電システム設置、地上波デジタルテレビの導入、IT環境の整備などを進めていこうというものだ。 IT環境の目玉になるのが大画面の「電子黒板」のようです。 液晶プロジェクターというのはそれなりに便利なのですが、(1)暗いこと(2)投影するのに奥行きが必要なこと と欠点もたくさんあります。通常の教室くらいの広さであれば、大画面のテレビのほうがメリットが大きいかもしれません。授業で何回かブラウン管のテレビにPCの映像を入力して使いましたが、やはり画面の小ささと、PCの画面の映り(あまり鮮明に出力されなかった)がネックでした。 有効に活用できるものが導入されるとよいのですが。

秋田県の大学進学

書くのがめちゃくちゃ遅れてしまいましたが、アエラの記事から 大学進学「高い県 低い県」 全文はAERA 2009.4.27 号にあります。 07年から始まった全国学力テスト。秋田は小学生では2年続けて全国1位。中学生は07年に全国3位、08年には全国2位。高い学力に注目が集まった。 ところが、専門学校や短期大学などを含む大学等進学率は全国平均を約10ポイント下回る43%、4年制大学に絞ると30%強。都道府県別で40位だ。07年度の東大合格者数は東北6県で最も少ない8人。東北大合格者数も、東北勢が上位5位を占めるなか、秋田は10位に留まる。 秋田県に来てからずっとこのことを疑問に思っていました。で、まわりの先生がたに「秋田県の小・中教育は学力テストで全国トップレベルなのに、なぜ大学進学でふるわないのか」と質問したところ、次のような意見が帰ってきました。 小中の「全国一位」というのはあくまで平均点の話。受験で戦うには上位層を伸ばさないと話にならない。 県民性。人との競争を好まない。 わたしのような「博士号教諭」が採用された理由のひとつにも、「学力上位層の充実」ということがあると思います。 では、なぜ上位層が育たないのか?AERAの記事ははその理由にも踏み込んでいて、 県内に就職先が少なく、大学進学へのモチベーションが低い。高校進学が最大の関心ごとになっている。 県内に大学が少なく、身近に大学生が少ないため「大学生像」を描きにくい。 1. については疑問に思いました。少なくとも進学校においては進学へのモチベーションは十分に高いと思います。大学進学率を問題にするなら、職業高校と進学校の生徒数の割合を他県と比べてみる必要があるはずです。 2. についても納得がいきません。たとえば自分は関西育ちですが、高校生のときに大学生の知り合いもいませんでしたし、大学のことをよく知っていたわけでもありません。 いちばん不思議なのは、上の引用にもあるように東北6県の中でも秋田県が最もポイントが低いこと。1. 2. は仙台を除く他県でもほぼ共通しているはずだからです。 この「秋田県の謎」、どれくらい解明されているのでしょうか?この謎がはっきりとわかれば効果的な対策がとれるので、非常に重要だと思っています。

出張授業、新プラン開始!!

ここでお知らせするのが一ヶ月も送れてしまいましたが、すでに県のホームページに今年の出張授業の一覧が出ています。県のページから自分の授業だけをぬきだしたのが こちら。 前年度にやらなかったものは削り、文章自体も書き換えました。 とくに楽しみなのが「 どこでも天体観測 」。慶應の インターネット望遠鏡 を使った授業です。いま、ミラノで3つめの望遠鏡が稼働しようとしています。今までよりきれいな写真がとれるはずなので本当に楽しみです。 リストにない内容にも臨機応変に応じます! ぜひご相談ください! 小中高以外や県外でも(予算的に可能な限り)出張します!  ぜひご活用を!

博士ネットワークミーティングのまとめ

3月に参加させていただいた 博士ネットワークミーティング で行なったディスカッションのまとめを、ようやく掲載することにします。 ずいぶん遅くなってしまいました。 こうやって他人と議論させていただくと、自分一人でいるときには思いもつかなかったアイデアがどんどん出てくるものです。議論していただいた皆様に心から感謝いたします。   ----- 博士ネットワークミーティング ディスカッションのまとめ   テーマ:「博士教諭」が他県でも行われるためには   ■基本事項 2008年度採用 5名(+非常勤1名) 応募57名 倍率 57/5 = 11.4 正規の教諭 任期なし 業務:勤務校での授業や研究指導 他校での出張授業   ■議論の記録   [評価] 評価方法を明確にする 現場の取組が全国に普及したケースを調べる 「効果測定」(企業内研修での評価方法)   [授業] 塾とのコラボレーション 手弁当で営業 受験の向こう側を知っている人間=博士 単元毎のトピックの提示 新しいプログラムの提案 卒業後の影響力 難しい理論を平易に説明 [外部への発信] マスコミ ブログ ネガティブな印象を与えない 生徒のメリットを発信   [採用] 各県の県知事に意見書をだす 「博士を地元に」県内枠を作る

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博士教員の広がり

教員募集の季節です。博士教員は秋田県に加えて、岩手県、京都市でも募集がある模様。 サイエンスフロンティア高校 ができた横浜市でも募集があるのでは、と思ったのですがweb上では確認できませんでした。 どこもだいたい今週いっぱいで締切です。応募を考えておられる方はお早めに。

21年度出張授業プラン

秋田県のページに今年度の出張授業プランが掲載されています。 http://www.pref.akita.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1241044775239&SiteID=0000000000000 今年度は基本的に昨年度に実績があったものに加えて、「インターネット望遠鏡」の授業をやってみることにしました。近いうちに授業のリストを載せようと思います。

新学期、はじまる

今年度は学級の「副担任」をやることになりました。自分が高校生のときの副担任といえば、担任がいないときに、たま〜に現れる、まさに存在を忘れてしまうほどの存在でした(陰ではたくさん仕事をされていたのかもしれませんが)。今は副担任もホームルームに参加したりします。   自分が子どものときに経験した小中高では、「教室に複数の先生がいる」という場面は絶対になかったのですが、今はチームティーチング(TT)や副担任など、そういう場面がけっこうあります。   とにかく、はじめてでわからんことだらけですが、がんばります!

ノーベル賞イベント終了

3/28に行ったイベント、みなさまのおかげで無事終了しました!当日の悪天候にもかかわらず、たくさんの方に来ていただけてビックリでした。 今回とても嬉しかったのは、子供たちだけでなく「大人」の方が本当に来てくださったこと。研究の内容だけにとどまらず、人生や生活のなかでどう科学を位置づけていてけばよいか。そういう議論ができたのが本当に収穫でした。 手伝ってくださった清陵の先生方、生徒のみんな、そして参加してくださったみなさん、どうもありがとうございました!

ノーベル賞記念イベント やります!

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10月に小林・益川・南部先生がノーベル賞を受賞して以来、各地で講演が行われていますが、春休みということもあって、3月にイベントが集中するようです。 というわけで、清陵でもイベントを行うことになりました。今回は中高生だけでなく、一般の方にも参加を呼びかけています。一般の方を対象にお話をさせていただくのはこれで3度目です。 素粒子の世界で起こる「対称性の破れ」を専門外の方に理解していただくのは簡単ではないです。今年度やってきた授業の集大成として、おもしろいものにしたいと思います。ご期待ください!   詳細は こちら

博士ネットワーク・ミーティング@つくば 2/7

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つくばへは研究会のために年に一度は行くのですが、今回は物理の研究会ではなくて、「博士ネットワーク・ミーティング」なるものに参加してきました。 詳細はこちら。 http://unit.aist.go.jp/humanres/ci/phd-career/event/network1.html いろいろな方のblogでも紹介してくださっているようです。 ありがたいことに秋田県に来て以来、博士のキャリアパスとして新しい方向に踏み出した、ということでいろいろとお声をかけていただいています。今回は年明けに顔を出した 横串会 の集まりで知り合った方から声をかけていただき、参加することができました。 今回勉強になったのは「論理力の水平展開」という議論。通常、研究者は研究そのもので使う厳密な論理と日常生活を区別して考えています。例えば、研究会の後の飲み会では、研究の話はしても刺身の成分や飲み屋の料金の分析をしたりはしません。なので、研究以外の、たとえば職場での業務の改善等に論理力を持ち込むことにはあまり慣れていません。新しい分野に進んだ博士がその力を発揮するために、こういう場で話し合えたことは非常に貴重だったと思います。 もちろん、「博士教諭」の話もたくさんできました。本当に多くの方々にディスカッションに加わってくださって盛り上がりました。結局、秋田県で既に採用されているわれわれが結果を出すことが重要だ、ということで身の引き締まる思いがしました。>参加者のみなさん、まとめのレポートが遅くなって申し訳ございません>< もうすぐやります。    

2月23日 横手南小学校

またまた小学校での授業です。場所はかまくらが終わったばかりの南小学校。本校の清陵のもう一人の博士号教諭、須田宏先生とのタッグです。内容は再び3年生の磁石ですが、「身の回りで使われている磁石」がテーマです。須田先生はモーターの仕組みについての授業。 さて、自分は何をやればいいのか。。。と、授業に行く前に考えました。身近な磁石の用途を大別すると、 動力(モーターや発電機) ものをくっつける(クリップ等) 情報の記憶 と行った感じに分けられると考えました。1. は須田先生がやってくださいます。で、私は3. をメインにすることにしました。やったのは「電車の切符に鉄粉をふりかける」というもの。よく知られている実験で、「砂鉄 切符」と検索するといろいろ例が出てきます。 前日に模様がちゃんと見えることだけを確認して授業に望んだのですが、実はけっこう奥が深いことがわかって、授業をやりながらどんどん内容をグレードアップさせていきました。 まず、切符には3本の線が現れますが、よく見ると細かい模様があります。これをルーペで観察させて、模様を黒板に書いてもらいました。思いもかけず、「観察→考察」という流れを作ることができて、自分ではけっこう満足していたのですが生徒のみんなはどう感じていたのでしょうか。とにかく、南小学校のみなさん、お世話になりました!

2月12日 刈和野小学校

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初めての小学校での授業です。自分にとっては未知の世界。ただ、夏まで清陵を会場に実施されていた「おもしろ理数教室」を見学させていただけたので、どういう感じになるかはある程度想像がつきました。 授業をうけてくれたのは3年生のみんな。「じしゃくのふしぎ」と題して、いろんなものを磁石にくっつけてみました。                 授業の隠れたテーマは「磁性」です。ネオジム磁石で千円札やシャープペンシルの芯、一円玉など、一見動きそうにないものを動かしてもらいました。ちょうど3年生は「じしゃくにつけよう」という単元で、磁石につくものとつかないものを学んだところです。そこでシャープペンシルの芯のような、絶対に動きそうなものが動くことを体験してもらって、自然の不思議さ、奥深さ、そして実際に実験してみることの大切さを感じてもらおう、という意図がありました。ただ、ちょっと地味だったかもしれません。  最後は磁石の実験ではお約束の「超伝導」。生徒たちは浮遊する磁石ももちろんですが、液体窒素そのものにも興味津々です。やっぱりこの実験のように、普段学校でやらないような大がかりなものをやるとすごく喜んでくれます。       終わってみれば本当に楽しいくて、小学校で授業をやるのが楽しみになりました。刈和野小学校のみなさん、どうもありがとうございました!

雄物川中学校 出張授業

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雄物川中学校に行ってきました。横手から107号線でのドライブは、「白い海の中を進んでいる」という感じ。夏も広大な田園風景に圧倒されましたが、冬の景色はほんとすごいです。 今回の授業はなんでも、全校生徒300名ほどが参加されるとのことでかなり緊張していました。学会や研究会でさえ聴衆が100人を超えることはまずありません。人生最大の舞台、です。 今回は宇宙論を中心に、素粒子とか超ひもの話をしたのですが、この分野の授業で困るのは実物を「持っていけない」こと。これまで、素粒子やひも理論の授業ではスライドを用いた授業ばかりをしていたのですが、やはりそれだけでは聞いている生徒のみなさんも退屈なはずです。なので、できるだけいろんなことを感じもらえるよう、クイズを出したり、風船を持っていったり、ビデオを流したり、いろいろやりました。アンケートをみると、難しいという声も多かったですが、楽しんでくれた人もけっこういて安心しました。 驚いたのは「ひも理論についてもっと知りたい」という意見がたくさんあったこと。最後にちょっとだけしか紹介しなかったので、逆に興味をもってくれたのかもしれません。 雄物川中学校のみなさん、どうもありがとうございました。 *授業で使った資料などはこちら http://allnatural.ddo.jp/~syojizeze/wiki/index.php?%BD%D0%C4%A5%BC%F8%B6%C8

引っ越します

諸事情のためブログを引っ越ししました。 引越し先はこちら。 http://allnatural.ddo.jp/~syojizeze/blog/ ちょっと速度が遅いですが、今後ともよろしくお願い申し上げます。

秋田と台湾の料理

台湾でわりとよく使われて、日本ではほとんど使われない沙茶醬(さーちゃーじゃん)という調味料がある。台湾料理は基本的にそんなに濃くないし辛くもないのだが、この沙茶醬は別。どろどろ脂っこい液体で、強烈な匂いがする。羊肉・牛肉の炒め物や、しゃぶしゃぶのタレとして使う。最初にこれでしゃぶしゃぶを食べたときは強烈さに驚いたがすぐに慣れた。匂いの正体は魚を発酵させたものらしい。 となれば、秋田にも「しょっつる」があるではないか。以前から気になっていたのだが、やっと今日買ってきて匂いを嗅いでみた。沙茶醬よりはずいぶんマイルドだが、やはり似たような魚の臭みがある。 沙茶醬は大曲イオンのカルディという輸入食材屋に売っているが、現地の3倍くらいの値段なのでとても買う気にならない。「しょっつる」があれば、しょっつる鍋にも中華にも使えて幸せ♪かも。

最近の子ども向け図鑑・百科

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夏ごろにやったブラウン運動の授業のことを 秋田県教育公務員弘済会 の研究助成に応募したところ、光栄にも入選させていただけることになった。で、いただいた図書券でなにか授業や実験に役立つ本を買おうと思った。最初は物理の実験集を買うつもりだったのだが、ちょうど甥や娘のための図鑑が気になっていたので、子どもの本のコーナーをのぞいてみた。 21世紀こども百科 科学館 (大型本) で、これに決定。タイトルに「こども」とあるが、大人が知らないこともたくさん書いてある。扱っている分野のバランスもいい。何よりいいのが、すぐできる実験や、身近にある星や乗り物など、子どもにとって身近な題材ばかりを扱っていること。高校の教科書では囲みになっている「やってみよう」とか「発展」が主役。理論的な説明はその後にくる。 来年度の探求の時間やクラブ活動に役立つこと間違いなしの本だが、タイトルに「こども」とあるので中学生・高校生のプライドを傷つけるかも?

ニュースサイトからのリンク

遅ればせながら、秋田県の「全国学力テスト」の公表結果を見た。見るのが遅くなったのはファイルが見つからなかったから。どのニュースサイトからもリンクが張られていなかったからだ。 「秋田県 学力テスト 公開」とググってみても、ニュースサイトばかりがひっかかって、肝心の公表結果に辿り着かない。県のWebサイトを見てもどこにあるのかわからない。結局、サイト内検索をしてやっと見つけることができた。 この件に限らず、新聞社のニュースサイトの記事には情報源へのリンクが張られていないことが多い。何か理由があるのだろうか。

秋田県立近代美術館

秋田県立近代美術館 に行ってきた。近所の 秋田ふるさと村 という巨大施設の中にある。正直いってあまり期待していなかったのだが、かなり素晴しかった。 6Fの半分は峯田敏郎の彫刻。木彫りの女性が並んでいる。基本的に素朴な女性が、文明の波にのまれて変容していくような、そんな印象を受けた。東北から東京に出て行く女性のイメージ。脚の表情がリアルで生き生きとしていた。 6Fの半分と5Fは日本画。1700年くらいから現代のものまで並べてある。角館出身の平福穂庵・百穂親子が近代日本画の 発展に貢献した、というのは全く知らなかった。 歴史を通してみていくと、中国の影響を強く受けた日本画に西洋の影響が入り込んで、最終的には画材の違いを除いては西洋の画と見分けがつかないまでに至る、その課程を見ることができて面白かった。「やっていることは同じだけど制度とか規格が違う」という状況は美術だけに限らずいろいろなところで起こる。素粒子論と宇宙論と原子核の研究の間には、かなりのオーバーラップがあって、同じような研究をやっている人がたくさんいるのだが、コミュニティははっきりと別れている。また音楽では、最近のカントリーミュージックはほとんどロックと聞き分けがつかない。日本で演歌とロックがはっきり区別できるのとはかなり状況が違う。 で、いつもふるさと村に行って思うのは、イベントが無いときの激的な人の少なさ。今回の美術館は完全無料なのに人が少ない。以下感じたことを: ワンダーキャッスルという子どもの遊び場があるのだが、ここの照明が暗いのであまりいい気持ちがしない。子どもが遊ぶ場所なのだから、清潔と明るさを徹底的に充実させるべき。例えば秋田駅ALVEの子ども未来センターは非常に気持ちのいい場所になっていて、安心して子どもを遊ばせられる。 美術館でもっともっと人を惹き付ける工夫ができないか。例えば、屋外にたくさんの彫刻や作品があるのだが、「だれに、どのように見せたいのか」という意図が感じられないし、広すぎていく気も起こらない。せっかく広大な土地を使っているのだから、うまく動機付けをして展示の一部として有効活用できないのであれば、子どもの遊び場にしたほうがいい。自然がいっぱいの秋田県だが道にはつねに車がいて、子どもを安心して遊ばせられる場所は意外に少ない。 美術館5Fの「ハイビジョン」映像の質が悪くて、6F,...

美術

美術館に行くのが好きになったのは20台半ばごろからだろうか。高校生のころ、そして広島の大学にいた頃は、美術を見に行く習慣なんてものはほとんど無かった。ところが大学院時代、大阪で過ごしているときに、少ないながらもそういう機会があったのだ。美術という、なんだかわからないものを意識するきっかけになったのは森村泰昌の展示だ。古典的な名画にお世辞にも美しいとは言えない(失礼)オッサンの顔がはまっている、そういう作品を見て、「美術ってなんなの?」という思いを抱いたわけである。その後も現代美術のインスタレーションなどを何回か見に行った。「お笑い系」とでもいうか、見た瞬間に笑ってしまうようなものが多い。 普通ならここで「わけわからん」と思って、美術鑑賞を通り過ぎてしまうのだろう。でも立ち止まってすこし考えてみる。自分は「超ひも理論」という、一般人からみたら全くわけのわからんものをやってきたわけだ。他人からみれば「高次元宇宙」とか「量子重力」は全く訳がわからないだろうが、やってる本人は真面目だし必死にやっている。ひょっとして現代美術のギャグとしか思えない作品たちも、全く同じではないか。本人たちはそれなりに必然性のある作品を真剣に作っているはずである。そうして、作り手が何を考えているのかが気になりだしてきた。 その一方で、美術館そのものがかなり快適な空間であることに気づく。静かで、展示は周到に配置されていているので癒される。美術館という建物自体に「空間」への配慮がゆきとどいているので、そこにいるだけで気持ちがいい。現代・近代・古典問わずその雰囲気は同じだ。おそらく美術業界全体にある種の基準があるのだろう。 普通の人の「わけわからん」の中に少しでも必然性とか夢、希望を感じ取ってもらう。 その後も何回か現代美術展を見にいった。

冬休みの日記

久々の関西。雪のない日常にちょっと戸惑う。外に出ると寒いのは関西も秋田もそう変わらないが、やっぱり景色が違う。 関西では街の様子が様変わりしている。金融危機前の景気が徐々に上向いていたころに開発が進んだのだ。梅田周辺も阪急が改装し、長年(自分が幼い頃から)あった北ヤードも開発が進んでいる。梅田駅からヨドバシカメラにいくあたりがガラッと変わっていてあせった。 正月に買い物に行った「 阪急西宮ガーデンズ 」もそのひとつ。西宮球場の跡地に大きなショピング施設ができた。わざわざ梅谷に出る必要が無いくらい店がたくさんある。阪急の子どもコーナーなんて、子ども対応のカフェや散髪屋があるわ、超高級子どもおもちゃがたくさん置いてあるわで、本当に充実していた。たぶんこんなところは秋田に無いと思う。 もうひとつ秋田にないものが、 ニュートンスタイル という科学グッズ専門店。科学的グッズと触れ合う場所が、科学館だけではなくってこういう場所にあるというのは本当にうらやましい。店は子どもたちであふれて大盛況だった。ちょうど父の誕生日プレゼントを探していた ので、地球儀のパズルを買った。暗いところで街灯りが光る、というのがすごい。夜の地球の風景は毛利さんのビデオで見たことがあって、そのときもすごく感動したのだが、同じようなものがGoogle Earthでも見られたりしないのだろうか。

あけまして

おめでとうございます。去年の今頃は台湾にいたわけで、今こうして雪に埋もれているのは自分にとっても驚きであります。まさに激動の一年でした。お世話になった皆様、どうもありがとうございました。今年もよろしくお願いいたします。