秋田県立近代美術館

秋田県立近代美術館 に行ってきた。近所の秋田ふるさと村という巨大施設の中にある。正直いってあまり期待していなかったのだが、かなり素晴しかった。

6Fの半分は峯田敏郎の彫刻。木彫りの女性が並んでいる。基本的に素朴な女性が、文明の波にのまれて変容していくような、そんな印象を受けた。東北から東京に出て行く女性のイメージ。脚の表情がリアルで生き生きとしていた。

6Fの半分と5Fは日本画。1700年くらいから現代のものまで並べてある。角館出身の平福穂庵・百穂親子が近代日本画の発展に貢献した、というのは全く知らなかった。

歴史を通してみていくと、中国の影響を強く受けた日本画に西洋の影響が入り込んで、最終的には画材の違いを除いては西洋の画と見分けがつかないまでに至る、その課程を見ることができて面白かった。「やっていることは同じだけど制度とか規格が違う」という状況は美術だけに限らずいろいろなところで起こる。素粒子論と宇宙論と原子核の研究の間には、かなりのオーバーラップがあって、同じような研究をやっている人がたくさんいるのだが、コミュニティははっきりと別れている。また音楽では、最近のカントリーミュージックはほとんどロックと聞き分けがつかない。日本で演歌とロックがはっきり区別できるのとはかなり状況が違う。

で、いつもふるさと村に行って思うのは、イベントが無いときの激的な人の少なさ。今回の美術館は完全無料なのに人が少ない。以下感じたことを:

  • ワンダーキャッスルという子どもの遊び場があるのだが、ここの照明が暗いのであまりいい気持ちがしない。子どもが遊ぶ場所なのだから、清潔と明るさを徹底的に充実させるべき。例えば秋田駅ALVEの子ども未来センターは非常に気持ちのいい場所になっていて、安心して子どもを遊ばせられる。
  • 美術館でもっともっと人を惹き付ける工夫ができないか。例えば、屋外にたくさんの彫刻や作品があるのだが、「だれに、どのように見せたいのか」という意図が感じられないし、広すぎていく気も起こらない。せっかく広大な土地を使っているのだから、うまく動機付けをして展示の一部として有効活用できないのであれば、子どもの遊び場にしたほうがいい。自然がいっぱいの秋田県だが道にはつねに車がいて、子どもを安心して遊ばせられる場所は意外に少ない。
  • 美術館5Fの「ハイビジョン」映像の質が悪くて、6F, 5F の作品を見たあとでは全く見る気がしない。モニタの数を減らしてでも質のいいものを入れるべき。ソースと鳴るハイビジョン映像の質は相当に良いはずなので、おそらくモニタの問題では、と思っているのだが。。。綺麗に映れば、所蔵品以外の作品を見ることの出来る貴重な設備として有効活用できるだろう。
こうして考えているうちに、「横手に科学館もあったらなぁ」とふと思った。小規模の科学館であれば、場所を確保することはそんなに難しくないような気がする。問題は人の確保だ。金融危機を受けて、これからかなりの公共事業が行われるはず。未来につながる教育や環境の分野にたくさん投資されればよいが。



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