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課題研究ガイダンス@湯沢高校 240423

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湯沢高校で「課題研究ガイダンス」を実施しました。研究テーマの設定は、高校生にとっても、研究者にとってもなかなか難しいもの。でも、それを楽しんで行えるようにと思ってお話してきました。秋の合同研修で再開しましょう! (画像は湯沢高校さんよりお借りしています。) https://yuzawa-hs.net/information/s-and-m/

「感染症流行のメカニズム~数理的アプローチ~」御所野学院高校 210702

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  秋田市の御所野学院高校さんで、「理数表現」の授業を行いました。感染症の数理モデル(SIRモデル)を体験してもらいました。本来は高校1・2年生が両方参加のはずでしたが、大会等の都合で1年生だけでした。実際に感染者数のグラフを操作してもらうよい体験になったのでは、と思います。 高校2・3年生でもっと既習事項が多ければ、「指数関数」「等比数列」「漸化式」の応用問題としてさらにつっこんだ内容にできると思います。ウイルスの性質に関しては「生物」、スプレッドシートの操作に関しては「情報」、感染予防対策や体調管理については「保健」ですから、まさに教科横断的、です。 10月の発表会前に再び訪問させていただく予定です。

宇宙は本当に膨張しているのか? 確かめてみよう 200925 御所野学院高校

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 秋田市イオンのすぐ近くにある御所野学院高校さんで、宇宙の膨張に関する出張授業を行ってきました。 タイトル:「宇宙は本当に膨張しているのか? 確かめてみよう」 日時:2020年9月25日   14:35~16:15  過去に勤務校の課題研究として実施したことのあるテーマですが、外部で実施するのは初めてです。 宇宙膨張の簡単な入門講義、体験活動のあと、天体のデータベース「SDSS」を用いて銀河を探す探究活動を行います。みんなが見つけたデータを合体させて「簡易ハッブル図」を作成、宇宙が膨張している兆候くらいは確認できたか、と思います。 御所野学院高校のみなさんどうもありがとうございました。 生徒さんからの感想抜粋です ・SDSSのサイトで銀河を探すのは大変だった。M82を実際に見てみたいと思いました。 ・宇宙にはあまり興味がなかったけれど、ビッグバンや等級などの話は聞く機会がほぼないので楽しかった。 ・宇宙という謎解きテーマの一つの謎がとけてよかったです。 ・1秒もかからないで原子ができたというのが驚きでした。SDSSも面白かったです。 ・宇宙の膨張についてよくわかりました。 ・星とか宇宙は昔から、興味があった分野だったので、すごく聞いていて楽しかったです。専門的な言葉を知れたり、明るさの基準だったり、他にもたくさん知りたいなとわくわくしました。 ・銀河の明るさや距離の関係が気になった。膨張しているということを初めて知った。 ・星や宇宙のでき方についてよくわかった。物理最高。 ・SDSSというサイトで星の等級や赤道偏位を調べ、グラフにしたら曲線になっていた。

研究テーマをどうやって決めたか~Z先生の場合~(3)

前の記事 研究テーマをどうやって決めたか~Z先生の場合~(1) 研究テーマをどうやって決めたか~Z先生の場合~(2) からの続きです。 上記2つを振り返って、高校生に役立つようにその気づき・教訓を列挙してみます。 (1) 「日常生活での気づきから得られる身近なテーマ」ではない 高校生の課題研究では↑のようなものがよいとされています。しかし、よく考えてみてください。科学研究はもともと世界を説明しようとして行われており、結果として今のような形に細分化・専門家されています。なので、すぐに思いつく研究テーマは (1)現在も難しくて未解決 (2)いっけん不思議だが解明されている (3)そもそも科学研究として不適切 のいずれかです。 (1) の例「宇宙に果てはあるか」=まだわかりません。 (2) の例「なぜ空は青いのか」   =解明されています。高校の知識でほぼ説明可能 (3) 幽霊はいるのか = そのままでは科学研究になりません。科学的な「幽霊」の定義は?どうやって再現する? 専門的な領域に踏み込み、掘り下げていけばいくほどテーマを見つけられます。草むらの奥にテーマが眠っています。必ずしも「身近な現象」である必要はありません。 (2) 研究業界での豊富なインプット・アウトプットに基づいている 素粒子論の文脈でテーマが設定できたのは、研究室という環境で先輩から学んだり、研究会に参加したり、教科書や論文から基礎理論を学ぶなどのインプットとアウトプットがあったからです。大学学部からテーマ設定に至るまでに6年間の積み上げがあるわけです。高校生にそれを望むべくもありませんが、理数科・SSH等で課題研究を行う学校はみなさんを強力にサポートし、高校を「研究コミュ二ティ」にしようと日夜努力しています。 (3) 研究テーマの根源は、業界内の「素朴な疑問」にあった 素朴といっても、(1)の文脈の「身近な不思議」ではなく研究分野内での素朴な疑問です。「素粒子世代の謎」についても、「D-ブレーンの構成」にしても、業界全体の大テーマであり、その意味で「素朴」と言えます。今でも本当に不思議に思います。その素朴な疑問が業界全体の流れに一致するからこそ、その解決に向けた小さな一歩が意味を持ちます。 もちろん

研究テーマをどうやって決めたか~Z先生の場合~(2)

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研究テーマをどうやって決めたか~Z先生の場合~(1) からの続きです。 大学院以降 ↑こちらに進学しました。 (1)でも書いたとおり、「ひも理論」を研究したいと考えてのことでした。 「 ひも理論 」とは、素粒子や宇宙の起源を、原子よりとてつもなく小さい「ひも」で説明しようとする試みです。万物の理論、究極理論と呼ばれたりします。 究極理論であるなら、「ひも理論だけ勉強すれば万事足りるのではないか」と思うのですが、そうはいきません。素粒子物理共通言語としての「 場の量子論 」をマスターしないことには、話すらできません。修士1年の時のゼミで必死に勉強しました。難解なことで有名な理論です。今でも完全にマスターしたとは思っていません。奥が深いです。 修士論文はひも理論のある論文のレビュー(解説)でオリジナルなことはしていませんでした。指導教員の専門である「弦の場の理論(SFT)」を勉強しました。そのころにはひも理論の「大革命」がやってきたのです。「5種類あるひも理論が実は全て同じもの」だとか、「ゲージ理論(電磁気学みたいなもの)と重力理論(宇宙の理論)が同じもの」だとか、革命的な結果が海外から流れ込んできました。そこで「主役」を演じたのは、「Dブレーン」という「板」でした。 「ひもを勉強するつもりだったのに、なぜ「板」なのか」と驚いたのですが、業界はもう、この話一色になりました。そこで不満だったのは、 「どのようにひもからDブレーンが作られるのか」がわからなかったことでした。 概念的には、ひもが固まって板になったと考えればよいのですが、それを具体的な計算で示した論文は見当たりません。(じつは2020年現在も完璧には解明できておらず、最重要テーマです。)そこで衝撃的な論文が現れます。「 弦の場の理論(SFT)を使えばひもからD-braneが作れるよ 」という内容でした。著名な研究者 A. Sen  と B. Zwiebach  が 提唱したのです。 このときちょうど弦の場の理論を勉強していた私は「 これだ 」と思い、D-brane とは何かを理解することを研究テーマに決めたのです。それ以来、2020年現在までこのテーマを研究しています。 さて「弦の場の理論」とは何でしょうか。これは素粒子の共通言語「場の量子論」をひも

研究テーマをどうやって決めたか~Z先生の場合~(1)

自分が物理学の研究テーマをどのようにして決めたのか、自伝的に書いてみます。 高校生のとき なぜか学校の物理が面白いと感じて、「物理学者になりたい」と思い込みました。それまで科学研究の経験は一切ありませんでした。強いて言うならばラジコンや音楽関係の機材など「機械」が好きだったかなぁ、くらいです。課題研究などというものも全く行われておらず、物理のどの分野を目指すかということも、まるで決めていませんでした。 大学生のとき 4年生になると研究室に配属されます。3年生の課題実験が全て失敗し、自分は不器用なのだと気づきました。実験の無い素粒子論研究室に入りました。 素粒子については「物理」の教科書の最後に書かれています。(数研313の教科書だと391ページ以降。)要するに、物質を構成するもっとも小さい「粒」は何か、そして、それらを結びつける相互作用は何なのかということです。当時の、そして今でも 定説 である「標準模型」を勉強しました。(高校教科書に書いてある内容そのものです。)

課題研究のテーマ設定に役立つリンク集

「課題研究のテーマ設定」は生徒にとっても、指導する教員にとっても、とても難しいものです。そう考える根拠は以下の通り。 【生徒の立場】 基本的に、高校までの教育課程に「自分でテーマを決めて科学研究する」という内容が含まれていません。これまでやったことがないので、難しいのは当たり前です。 【教員の立場】 1年間~今後数年のことを見通してテーマ設定を支援する必要があります。これには、単に研究経験のあるポスドク、というだけでは不十分で「研究費申請書をたくさん書いた経験」「研究室を運営した経験」が役に立ちます。つまりはPIの資質が求められるということです。高校でこれにもっとも近いのは「科学部や課題研究での指導実績が豊富な先生」でしょう。 テーマ設定の方法 なにはともあれ、やらないと始まりません。もっとも頼りになる書籍は「課題研究メソッド」 ですが、採用していない学校も多いです。なので webで手に入るものをいくつか紹介します。  調査方法:「課題研究 テーマ設定」でgoogle 検索 ↑千葉大学の有名なテキストからの抜粋です。高校生の目線でよくまとまっています。SSH校には冊子があるはずです。 ↑こちらも高校生向け。よくまとまっています。  研究テーマの具体例 では、高校生として、実際にどれくらいのレベルを目指せばよいのでしょうか。実は、タイトルを眺めているだけで見えてきます。実は、学会や論文誌にも、プロの研究の水準を満たさない「トンデモ研究」が紛れているのですが、専門家ならタイトルを見るだけで見破れてしまうのです。おおざっぱに言うと、「アインシュタインは間違っていた」とか、「宇宙の量子論を完成した」とか、その分野での定説を大胆に覆すのですが、その中に過去の研究を踏まえた専門的なワードが全く入っていないのが特徴です。高校生ならある程度は許されるかとは思いますが、それを自覚したうえで挑戦的に挑むのと、何も知らないでやるのとではやはり違いがあります。 まず高い目標になるのが、全国規模の科学コンテストや各学会の「ジュニアセッション」でしょう。実績のある高校の成果も参考になります。   ↑高校生として目指す理想の形に近いのではと思います。授業内容から発展し、高校生として程度の高い内容が盛り込まれていて、事前