毎年のSSHの取組を評価したり,新しい計画を立てるのに,自校の全国の中での位置付けを知ることはとても大事です。全国のSSHの傾向をまとめた資料が欲しい,とずっと思っていました。SSH校からは,毎年「活動実績調査」なるものをJSTに提出しています。おそらくJSTや文科ではこれを分析しているのでしょうが,その結果は公開されていませんでした。これまでJSTの方と話す機会があるときに,「全国的な傾向と分析が知りたい」という要望を伝えてきました。 で,今年の3月に,科学技術・学術政策研究所(NISTEP)からSSHに関する調査結果が出ているのを見つけました。 スーパーサイエンスハイスクール事業の俯瞰と効果の検証 とても貴重な資料です。要約では以下のようにまとめられています。 SSH指定校の理系進学率は全国平均に比べ、2~3 倍程度高い。 都市部のSSH指定校に比べ、地方のSSH指定校の国公理系進学率が高い。 SSH事業に関与している教員比率が高いSSH指定校では、理系進学率が高い。 学習指導要領によらない教科内容を積極的に実施する学校では、国公理系進学率が低い傾向がある SSHが始まったのが平成14年とのことですので,すでに11年が経っています。文科省が最初に意図した姿に育ったのかどうかはともかく,SSH校全体で大きな流れが生まれていて,日本独自,他国では類を見ないものに育っているのではないかと思っています。それを明らかにするためには,個々の学校のケーススタディや,「SSH卒」の研究者の追跡調査が必要でしょう。 最近の文科の方針では,次期指導要領の「数理探究」を見据え,コンピテンシーベースとの指導と評価を重視する姿が鮮明です。この先どうなっていくのか,とても興味深いです。