http://johokanri.jp/stiupdates/policy/2013/11/009250.html より 先日小欄で紹介した生物学分野のプレプリントサーバー" bioRxiv" が11月11日、登場した。 プレプリントの投稿、閲読は無料で、運営費は米Cold Spring Harbor Laboratory(CSHL)が負担する。投稿は自由も、「本物」の科学のみが選別掲載される。また、生物学・生命科学分野に特化しており、臨床研究など医学分野の論文は対象外。 物理・数学分野のプレプリントサーバー"arXive"同様、査読後に出版される前の研究成果の迅速な流通とフィードバックの活発化が期待されている。 「プレプリント」というのは論文の「前刷り」,つまり学術雑誌に投稿する前の原稿のことです。学術雑誌の査読,そして掲載まではかなり時間がかかります。早くても半年くらいでしょうか。それを待っていると,自分の書いた論文の内容すら忘れてしまいかねません。そうならないよう,研究者の間でプレプリントを交換する文化があります。昔は印刷したものを研究室に送っていました。 理論物理,数学の分野では arXiv というプレプリントサーバーを使用するのが普通です。大半の論文が投稿されるので,これだけチェックしていればまず大丈夫です。しかも無料です。これは,自分のように研究室から離れてしまった人間には大いに助かります。(他の分野では,大学に行かないと論文がなかったり,ネットにあっても有料の場合がほとんどです。)で,この事情を生物の研究者に話すと驚いていました。ふつう,論部を引用する際にはちょっと長い文章,たとえば JHEP 1010 , 070 (2010) みたいになるわけですが,arxivですと arXiv:1008.1104 これだけで伝わります。 今回の bioRxiv はいろんな意味で役に立ちそうです。特にSSH で英語の論文アブストラクトに挑ませたり,最新の研究成果を調べたいときに活用できそうです。