東ロボ君は物理が苦手


人工知能「東ロボ君」がセンター模試を受けた結果が話題になっています。

 (以下,小川もこ デリシャス・タイム さんからの引用)



2013 2014
総得点 387点(45.1) 386点(47.3)
平均 459点 422点
英語 52点(41.0) 95点(50.5)
国語 42点(44.7) 69点(54.2)
数学ⅠA 57点(51.9) 40点(46.9)
数学ⅡB 41点(47.2) 55点(51.9)
世界史B 58点(55.2) 52点(56.1)
日本史B 56点(56.1) 44点(48.2)
物理 39点(48.3) 31点(49.0)



どうも,当ロボ君は物理がとても苦手のようです。人工知能と人間の思考は異なる点が多いので,これが,多くの生徒が「物理は難しい」という根拠といえるかどうかはわかりません。しかしながら,人工知能の苦手なことして,

・図形を認識すること
・暗黙に仮定された文脈を理解すること


 があげられていますが,どちらも物理の問題に多く含まれる特徴といえます。なので,「人工知能にとって難しいことは,人間にとっても難しい」ということが少しは言えるのかもしれません。


「人口知能」の研究は,今後の指導要領改訂,入試制度改革にとって大きな意味を持つと考えています。人工知能が苦手な問題を抽出することにより,新しい制度が求める「文脈重視,コンピテンシー重視」の問題を作成するフィルタとして機能し得ます。


また,新制度への移行も促進されるはずです。すでに議論されているように,もし東ロボ君が高得点をとれるようになれば,「機会より劣る結果を出すために,少なくとも高校の3年間,死に物狂いで勉強する」ことの価値は薄れていくでしょう。もちろん,アスリートが車より速く走れないように,人間が問題に挑むことの価値は十分にあります。しかしながら,将来の職業に与える影響は甚大です。人工知能が普及するなかで,
「人工知能はけしからんから,一切使わずに,昔に戻せ」という議論は十分に起こりえます。しかし例えば,今,「自動車はけしからんから,全部,飛脚や馬に戻せ」という議論が成立するでしょうか。技術が普及してしまったら一方通行で戻せないので,慎重に議論すべきです。



ということで,人工知能の研究が,応用面とともに,「人間とは何で,思考とは何で,人間の価値とは何なのか」を明らかにし,特に認知科学,教育学の発展に大いに貢献することを望んでいます。


例えば,教育業界には,教科の概念理解をはかるための,選択肢型の問題がたくさんありますので,これを解かせたらどうなるでしょうか。また,これは相当チャレンジングだと思いますが,「学びあい」の効果を実証するために,単独のエージェントだけでなく,複数のエージェントからなる人工知能のシステムを研究するのも面白いと思います。



















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